ミドルシニア世代に今、必要とされるもの(レポート:田村淳のTaMaRiBa#4「Jリーグと考える課題解決 / ミドルシニアの働き方を考える」)

ミドルシニア世代に今、必要とされるもの(レポート:田村淳のTaMaRiBa#4「Jリーグと考える課題解決 / ミドルシニアの働き方を考える」)

カテゴリー2022年12月30日

ミドルシニア世代に今、必要とされるもの(レポート:田村淳のTaMaRiBa#4「Jリーグと考える課題解決 / ミドルシニアの働き方を考える」)

 長い間、日本では「一つの会社で長く働き、役職をもち、定年後は年金でのんびり暮らす」という働き方が一般的とされてきました。しかし、高齢化社会、年金制度の崩壊、働き方改革などの激しい社会変化により、いままでのような働き方では安定して充実した老後が送れないのではないかと専門家たちは警鐘を鳴らしています。このような急激な社会変化に対応していくため、特に役職定年を間近に控えたミドルシニア世代は何が必要なのでしょうか?

 今回、田村淳と共に作り上げるビジネスコミュニティで地域と日本を変えていくビジネス共創番組「TaMaRiBa」で特集されたのは「ミドルシニアの働き方」。40代は「ミドルシニア」と呼ばれ、生産年齢人口(15歳から64歳まで)において最も多いとされているボリュームゾーンで、その数は20代の1.5倍とも言われています。今回、番組内では、ビジネス代謝ラボ 代表取締役社長小髙峯康行、大手企業人事出身で同じくビジネス代謝ラボの清田大介、日経BPマーケティング社長の高柳正盛、形の背景にある目に見えないものをデザインするデザイン事務所NOSIGNER代表 太刀川英輔が登壇しました。

 高齢化社会の今の日本でミドルシニア世代が「輝いて働く」ために何が必要なのか。それぞれの視点からの的確な考察が展開されました。

田村淳のTaMaRiBa#4「Jリーグと考える課題解決 / ミドルシニアの働き方を考える」

https://www.youtube.com/watch?v=U2jF_zTMJIs

 

【出演者】

橘ケンチ(EXILE)

TETSUYA(EXILE)

池谷実悠(テレビ東京)

小髙峯康行(ビジネス代謝ラボ)

清田大介(ビジネス代謝ラボ)

高柳正盛(日経 BP マーケティング)

太刀川英輔(NOSIGNER)

 

1.ミドルシニアとは

 今回TaMaRiBaに出演しているEXILEの二人は40代。今、40代を超えた世代は「ミドルシニア」と呼ばれ、働く人口の57%がこの世代に当てはまるといわれています。しかし、この世代において「やりがいを持って働いている人は42%程度しかいない」とビジネス代謝ラボ代表取締役の小髙峯康行は言います。「かつては年功序列の終身雇用があたりまえで「会社に骨を埋める」ことが美徳とされてきた。年齢が上がるにつれ給料も上がり多くの人は管理職として現場を離れるということが状態化していた。そして現在その地位にいる多くの人はミドルシニア世代です。」

 さらに日経BPマーケティング 代表取締役社長 高柳正盛は「高給取りにもかかわらず現場の労働力になっていない管理職のミドルシニア層は企業から見れば扱いが難しい存在」と指摘。さらに日本独特の「役職定年」という制度が問題になっていると大手企業の人事を担当した経験のあるビジネス代謝ラボの清田大介は分析します。企業の50%以上が採用しているという役職定年により、55歳前後で役職を離れ年収が30%以上下がったり、職場を異動したりするケースが少なくないことが、ミドルシニア世代の大きな課題になっています。

 

2.ミドルシニア世代の課題

 小髙峯氏は「大手企業管理職で年収1000万円超えている人が60歳の再雇用で年収300万円になる。モチベーションが上がらないというのが今の現状」と分析。高柳氏はサントリーの40歳新定年説を踏まえ、「40歳までにその後の自分をイメージ化し、そこから先のキャリアを個人個人がきちんと考え準備してくださいねというメッセージだった」と語り今後、企業側はこれに追従した動きをしていくのではないかと予測しました。

 さらに社会課題に企業・行政と取り組むデザインストラテジスト NOSIGNER 太刀川英輔氏は、奄美大島でマングースを放った土地のカエルの逃げ足が進化した研究を踏まえ、「変化を求められる社会、変わらなきゃいけないという状況にさらされる社会は自分を変化させる力が強くなる」とし、「社会が変化している今、働き方も変える必要がある」と語りました。

 働く人の40%以上がやりがいを感じられない中、「その一方で独立した人は95%の人がやりがいを感じていると回答している」と語る小髙峯氏は、「自分で本当に変わっていかなくてはならない、そのために自分でも学び直しにも投資をする必要がある」と続けました。現状維持か独立か、ミドルシニア世代には大きなパラダイムになります。

 

3.これからのミドルシニア世代の働き方

 続く討論では「これからのミドルシニア世代の働き方」として、それぞれの視点から重要な点が語られました。ビジネス代謝ラボの清田氏は「外へ出る、会社を離れるということに対して不安を感じてしまうことは無理もないこと」とし、副業・兼業が割と自由に認められるようになってきている今こそ、それらを利用して自分が実際に会社に頼れなくなった時にどうするのかを考えたり、「今の会社に在籍している間に、試しに社外の人たちと交流してみる」ことが重要であるとしました。

 日経BPマーケティングの高柳氏は、ミドルシニア世代の考え方で重要なこととして「学ぶ姿勢を忘れないこと。50代はまだまだ先が長いので勉強しなきゃいけない」と指摘。さらに会社側も変わるべきだとし、「『働く人がどうやったら幸せか』ということをベースにしながら企業が新しい働き方を企業側が組み立てなくてはいけない」と語りました。

 NOSIGNER 太刀川氏はイギリスの心理学者レイモンド・キャッテルの「流動性知能と結晶性知能」のグラフを用い、「ミドルシニア以降というのは、未知のことに前向きになってみるのがとても大事な世代」と分析します。ミドルシニア世代は敢えて今までやったことがないような「新しいこと」「変なこと」に挑戦することが成功への秘訣ではないかと語りました。

 

4.まとめ

 最後に番組では「一度上役になってしまうとそこから降りてしまうことが難しいけれど、周りはそんな風に思っていないのではないか。以前、日経の記事で『自分のキャリアの中で培ってきた情報やノウハウを若い子たちにシェアする感覚がすごく楽しい』とあり、それを読んでかっこいいと感じた」「どうやって人の役に立てるかを追求していくことによって人生の醍醐味が大きく変わってくるのではないか」という橘ケンチ氏のまとめで締めくくられました。

 ミドルシニア世代の働き方を変えるために重要なことは、変化を恐れず、学びながら前向きに新しいことを始めること。意外にも新しい変化は自分だけでなく周りからもよい評判を得る機会になるかもしれません。人生100年時代を迎えるにあたり、長く前向きにやりがいを持って働き続けるために、ミドルシニア世代こそ新しい挑戦が必要なのではないでしょうか。

 

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